神話辞典  文化地域  大項目  50音 

オニキリ 鬼切 おにきり (鬼切丸)

>>関連項目一覧

刃長二尺七寸(約81cm)という。 *名称がたびたび変わった刀(髭切,獅子の子,友切)
日本の伝承で、源頼光の四天王の一人、渡辺綱(わたなべのつな  生没953-1025年)が羅生門の鬼を切った太刀。頼光から賜ったもの。

「鬼が棲む」というのを確かめるため、羅生門におもむくと、不意に兜のしころを掴んでくる ものがいた。 斬りつけると、鬼の腕(鬼の手)が残っていた。鬼は雲の中へ消えた。 (謡曲『羅生門』等)

その後、鬼は渡辺綱の伯母に化けて腕を取り戻しに来たが、首を切り落とされ、 天井の煙出しから逃げた。これ以後、この太刀は鬼切丸と呼ばれるようになったという。
屋代本『平家物語』剣巻では一条戻橋で鬼の手を切る場面となっている。

しかし、これら諸文芸で一番古い話は『前太平記』が最初のようだ。 酒呑童子の配下、愛宕山の茨木童子という鬼を切った。 (この鬼は嵯峨天皇の御世[在位809-823年]に公卿の娘が自ら鬼に変化したという)

源家重代の名刀で、たびたび名前が変わった。
髭切(ひげきり)→鬼切→獅子の子→友切(ともきり)→髭切

『平家物語』剣巻によれば、もとは源頼光の父、満仲(清和天皇の曾孫)が時のミカドより 天下守護の勅宣を賜り、ふさわしい刀がいるというので鉄と鍛冶を集め、果ては九州から 異国人の名匠がよばれ、幾振りもの失敗の末八幡宮で帰命頂礼の祈りの末、神託を得て完成させた。

このときの二振りが罪人の斬首での試し斬りで首と共に髭まで切ったという切れ味に 「髭切」となった。もう一振りは首と共に膝まで切ったので「膝丸」(のちの蜘蛛切)となった という。

新田義貞が鬼切と鬼丸国綱の二刀で出陣していた時期もあった。

参考資料
名刀 その由来と伝説 (光文社新書)
日本架空伝承人名事典 (平凡社)

 

関連項目一覧
蜘蛛切 (日本刀)
武器 (大項目)
刀剣、日本刀 (大項目)
日本 (文化地域)

>> Page top

(C) 幻想世界神話辞典 - GENSO SEKAI Myth dictionary