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戦争 War (戦神,軍神)

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*戦神・軍神一覧は下段に記載
神話には、神々の戦争等が語られることも多い。
「人類の歴史は戦いの歴史」ともいわれる。他の動物と同じくテリトリー、なわばり争そい をするのは自然なことともいえるが、人間自身が認識するところ、戦争という行為は動物より野蛮だともいう。
それはともかく、戦争での命のやりとり、運命の行く先は人智の及ばないところであり、 神だのみや、戦いを司る神々への信仰は重要だった。

人間は命がけになるような危険や生きるか死ぬかという事態において、非常に強く信仰心をおこすようである。
また王や将軍たちは、死の恐怖、戦いの恐怖に対し、神々の守護を声だかに叫び、兵士を鼓舞した。

以上の点などから、戦争に関する様々なことがらについて神々が関わることや、迷信、言い伝え、伝承が多くみられる。
また、近世頃までは、戦争の英雄が新たに神として祀られるようなこともみられた。
あるいはヨーロッパの悪魔学では地獄の兵団の兵数や階級など語られるが、神話伝承は人間社会を投影したものなのだということ の あらわれといえる。
武器にも神々や古代の英雄にまつわる伝説があったり、刀剣には神々の図像や聖なる言葉、魔法の文字が刻まれ、兵器にも神々に 関した名前が用いられた。それは現代も同じである。

なお、現代においても戦争の開始の際、テレビメディア等を通して国家元首が「神の名において」とのたまうことが良くみられる。
しかし一方で、あるいはなればこそ、人々は平和を強く希求してもいる。 多くの宗教、哲学において平和や生命の尊厳を訴える思想が重要視される。難しいことである。



戦いの神、軍神 一覧
*主神には軍神的な神格があることが多い。国家守護の神格ともいえる。

・ギリシャ アテナ (戦いの女神 防御の戦)
・ギリシャ アレス (戦いの神 暴力の戦)
・ローマ ミネルバ (女神 戦神 [アテナと同一視])
・ローマ マルス(マーズ) (軍神,戦神)
・北欧ゲルマン オーディン (戦いの神、嵐の神)
・北欧ゲルマン ヴァルキューレ (戦いで倒れる運命の戦士を選ぶ女神)
・北欧ゲルマン フレイヤ (女神 戦神の神格も)
・ケルト ヌァダ (戦いの神 主神)
・ケルト モリガン (戦いの女神 「大いなる女王」)
・ケルト クロウ・クルーウァッハ (力と戦の神 竜蛇)
・古代アルメニア ヴァハグン (戦神 太陽、稲妻、火)
・スラブ ルイェビト (軍神 7面神で8本剣持つ)
・インド、仏教 アスラ、阿修羅 (戦いの神、強力な悪神→強力な守護神)
・カナーン レシェフ (戦争の神 雷、疫病神 「矢の王」)
・カナーン アスタルテ (戦いの女神 「馬と馬車[戦車か]の女主人」)
・シュメール ニンギルス (戦神 武器は洪水)
・南米アステカ ウィツィロポチトリ (戦争の神)
・南米マヤ エク・チュアフ (戦い、死の神)
・ポリネシア ツー (戦争の神)

・日本 スサノオ (英雄、戦神?)
・アイヌ オキクルミ (英雄、戦神?)




神々の戦い
神話では、主神に敵対する悪神等の強大な敵対者と神々の戦いが語られていることも多い。
山が投げられたり、島が投げられたり、世界が一度滅ぶ等スケールの大きな戦いが繰り広げられる。 ・ギリシャ ティタノマキアー (ゼウス・オリュンポス神軍VSティターン神軍)
・ギリシャ ギガントマキアー (ゼウス軍VS巨人軍)
・ギリシャ テューポーンとの戦い (ゼウス軍VSガイア怪物軍)
・ギリシャ イーリアス(トロイア戦争) (アポロン神庇護軍VSアテナ神庇護軍)
・北欧ゲルマン ラグナロク (オーディン神軍VSロキ神・怪物・巨人軍) ・バビロニア 神世代交代戦争 (マルドゥック神軍VSティアマト神軍)
・インド ラーマヤーナ
・イラン ザッハーク (悪王) 人間と悪魔、妖精の混成軍をつくる、魔法の国インドを征服にいく
・アジア仏教 不動明王 大日如来の命を受けて魔軍を撃退する




参考文献
戦争の世界史―技術と軍隊と社会
・大辞泉 (JapanKnowledge)
・eプログレッシブ英和中辞典 (JapanKnowledge)
・ONLINE ETYMOLOGY DICTIONARY

 
関連項目一覧
武器 (大項目)
ミサイル (ヨーロッパ:武器,飛び道具)

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