神話辞典  文化地域  大項目  50音 

風 Wind (風神)

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世界各地で、人類が認識する自然現象のひとつ。自然の神格化の神として風の神はよくみられる。 また嵐の神格となると強大な力や破壊をもたらす神となる。
船や海と関わる地域、また農耕などで雨や雷とも関連して関わる地域、台風、ハリケーンなど 季節的な大風が発生する地域などで とらえられかたは違う。
(風の神、精霊の一覧は末尾に記載)

人間が風を利用したものとしては古くは帆船(古代エジプト他)や灌漑・製塩用の風車 (古代インド、中国 後にヨーロッパへ)などがある。 現代では風力発電が目立つだろうか。
海洋国の古代ギリシャでは、東西南北の風の神があった。他の文化圏でも、ひどく 目立つ存在ではないが風の神がいる。

風に関する語彙をみると、文化圏での違い、特徴がおもしろいかもしれない。 割合、神や祭事、民俗的なものと関わった名前であったりする。

日本では「風聞」「風のうわさ」「風潮」「風流」「風習」など事物、出来事、人々の心情、 とくに一時の、時流にのって起きた事柄を風にたとえたりする。 例:「維新の風」「(選挙などで)風がふいた」「娑婆の風は冷たい」 「世間の風あたりが強い」「臆病風にふかれる」など

風に関する名称
日本:カゼ(風 訓かぜ、音ふう)
 かみかぜ神風
日本:シ、チ (コチ東風、ニシ西風、アラシ嵐 風の神しなつひこのみこと)
沖縄:はえ(南風)
級長津彦命(しなつひこのみこと)、級長戸辺命(しなとべのみこと)の男女二神 日本書紀
風神(ふうじん)、
神風 しんぷう shinpu かみかぜ kamikaze 日本の神風。蒙古軍を壊滅させた。
風神 裸形で風袋をかついで空を駆ける姿に描かれる。雷神と対になって描かれる。

仏教では十二天の一つの「風天」があり、風袋を両手で掲げて疾駆するその姿がカニシカ王の銅貨にみられる。
またカニシカ王の金貨にはギリシア神話の風神アネモスの同様の姿がみられるという。

中国では「風伯(ふうはく)」で、雨の神「雨師(うし)」と、丙戌(ひのえいぬ)の日に西北で祭るという慣行があったという。

風: もとは「ボン」あるいは「ハン」と発音した文字だろうとも
 漢字「風」 凡と虫という文字で構成されており、凡は風という文字の発音を示すとも
vent: フランス語
wind: 英語 過去は天気weatherと混同も(weather side風上側など
 いずれも空気の振動を模した擬声語と考えられる
 一定の風向きの風が一定の天気を伴うことは、古くギリシア時代から識別されていた。
 これは世界各地でも同様である。

テンペスト tempest : 嵐、暴風雨、または動乱
 ラテン語tempestas tempus(時間、季節)から 荒れた、悪天候のことに。13世紀頃から
台風、颱風(たいふう) 大正時代から それ以前は大風、嵐、古くは野分(のわき)
タイフーン
颶風(ぐふう)
サイクロン cyclone : kyklos(蛇のとぐろ) 古代ギリシャ語から。インドの気候用途は1800年代
 インド洋に発生する発達した熱帯低気圧。性質は台風と同じ。
ハリケーン :語源アメリカ先住民の神フラカン
(1年を周期とする季節風)
モンスーン monsoon:(季節風)
 本来はアラビア海で半年交代で向きの変わる風。
 アラビア語の季節 マウシムmausimが語源 中世、インド洋-アラビア海航海したアラブ人が使った。
 (年1度の祭、養蚕の季節、航海の季節をいった)

アウステル Auster (南風) ラテン語。オーストラリア(南の国)はラテン語の南

スカッド Scud : 一陣の風、突風。(一般的には雲や船が強風ですうっと動く、飛ぶこと)
The boat scudded along before the rising wind. 帆船は風を受けて- 風による、ちぎれ雲や吹き付けるにわか雨、通り雨。

エテジア風etesiai:年を表すエトスetosに由来

シロッコ SIROCCO 北アフリカ、サハラからの南東の風。乾いた熱風。春に吹く。Sciroccoとも。他、土着名多い。
 ヨーロッパ人が非常に不快だとたくさん書き残す。
 シチリアやイタリアにくると湿気を含むが不快感はばっちり残る。「ヴェニスに死す」にもこの風の不快さが書かれている。

シムーン SIMOON 北アフリカの砂漠の「毒風」。アラビア語のsamm(毒)に由来。Samumとも。

サンタナ

スー SZ 颸 中国の「秋を告げるかすかな風」。颸(風へんに思)。涼風のことだという。

風邪 日本。「邪気を含んだ風邪」病気の名前だが、悪い風は病気になる、病気は悪い風が原因という考え方は世界にみられる。

神話の中では激しい風を起こして攻撃する、という場面もときにみられる。
その地域の気候の特徴がみられるようだ。
チュクチでは「物語り」をすることに風、悪天候をやませる魔力があるとされたようだ。 北方アジアの狩猟民には強い風は大敵だったのだろう。

参考資料
風の博物誌(下) (ライアル ワトソン著 河出文庫)  [下巻に民俗神話関連の章、巻末に「風の小事典」あり]

・大辞泉 (JapanKnowledge)
・eプログレッシブ英和中辞典 (JapanKnowledge)
・ONLINE ETYMOLOGY DICTIONARY

 
関連項目一覧
魔物フンババに風で攻撃したシャマシュ神 (シュメール:ギルガメシュ叙事詩)
英雄スランジャナと魔物レンブ・グマラン (インドネシア)
 
アイオロス (ギリシャ)王:風)
イェル (ルーマニア:妖精:風)
ヴァーユ (インド:風神)
エアリエル (ヨーロッパ:精霊:風,大気)
カマイタチ(かまいたち) (日本:妖怪,風)
ジョンボル (アボリジニ:精霊:風)
シルフィード (ヨーロッパ:精霊)
ゼフィロス (ギリシャ):神:風)
チュクチ (文化地域:風を止ます物語り)
ノトス (ギリシャ):神)
パズズ (古代アッシリア:悪魔:病気)
ハヤカセホコ(隼風鉾) (日本:武具:鉾)
フウスイ(風水) (中国:思想,魔術)
フウリン(風鈴ふうりん) (日本:道具)
フラカン (アメリカ先住民族:マヤ,オルメカ:神:風)
ヤ・オ・ガー (北アメリカ先住民:イロコイ民族:精霊:風)
ヨアルリ・エヘカトル(夜の風) (アステカ:テスカトリポカ神:別名)
ルンタ (ポェパ(チベット),仏教:馬)
ワユ (ゾロアスター教:神:ヤザタ)

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