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アマノガワ 天の川 あまのがわ 天河 Milky Way

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天の河とも。夜空にみえる、帯状の無数の恒星の集まり。(画像)  夏から秋に最もよくみえる。 中国、日本の神話・民話・伝説では七夕伝説とあわせて有名。
天の戸河(あまのとかわ)、天の安の河(あめのやすのかわ)ともいうようだ。
七夕伝説は「万葉集」「竹取物語」など多くの作品にみられ、中世文学で好題材となっている。
近年の首都圏の大気や夜間の都市光の環境ではみえにくいようだ。
天の川に関する伝承は世界各地でみられる。(後述)

もともと中国で、天帝を怒らせた牛郎(牽牛[けんぎゅう]星)と織女(織女[しょくじょ]星)が天河をはさんで一年に一度しか会えない、という筋の話は 日本でも受け入れられ、おりひめ(織姫)、ひこぼし(彦星-彦=日子は男性の尊称 姫=日女の対語)という名で、同じ筋の伝説が 伝わっている。

日本では天の川は、天の河、天の戸河(あまのとかわ)、天の安の河(あめのやすのかわ)とも。 これらの名称は「古事記」「万葉集」にもみられ、七夕伝説は「万葉集」「竹取物語」などにも見られる。

英語圏ではミルキーウェイMilky Wayと呼ぶ。 由来はギリシャ神話の女神ヘラの乳が流れた「乳の河」のことである。ギリシャ語ガラクスィのガラは乳。
似た考え方ではモンゴルの「マンザン・グルム女神の乳の流れ出たもの」というのがある。 またケルト、アイルランドの伝承では光の神ルーの「ルーの鎖」という呼び方がある。
エジプトでは「イシス女神が持つ麦の穂を落としたもの」
いずれも白色の光の帯から連想された名前のようだ。
詳しい語彙はわからないがアボリジニのダーエン民族は「ワーランブール」と呼ぶ。
天の川の漢語系の別称は銀河、銀漢、雲漢、天漢、河漢などがあるようだ。
天の漢河、ということらしい。
こちらもより古くから同じ考え方で
天のユーフラテス河(オリエント)
天のナイル河(エジプト)
天のガンジス河(インド)

アラビア圏でも河とみなされていたようで「天の川を渡った星と渡らなかった星」という 起源の古い説話物語の伝承がある。 アラビア語で天の川はダルブ・アルテッバーナ。
仲良しの3つの星、アル・アビュール(シリウス)、スハイル(カノープス)、 もうひとつはまだ名前がない(プロキオン)で、天の川の向こうへいって遊ぼう、と天の川を渡ったが 名前のない星だけ渡れず取り残され泣き出し、姿もかすんだ。それでプロキオンには 「アル・ゴメイザ」(泣きぬれた目) という名がついた(現在のゴメイザは小犬座β星)

南米インカでは、マユ(天の川)の中の黒い部分(暗黒星雲)を星座のようにみなしていた。

望遠鏡での天体観測を行ったガリレオ・ガリレイは「星界の報告」の中で天の川は 「実際は重なりあって分布した無数の星の集合にほかならない」と述べた。

織女、牽牛については ベガ(落ちる鷲、の意)、アルタイル(とぶ鷲、の意)という呼び名がある。アルタイルは アラビア起源の名前だという。 ベガはこと座の1等星、アルタイルはわし座の1等星となっている。

天の川は我々の属する銀河系を構成する微光星の群れがみえているもので、我々の銀河系the Galaxyを 他の銀河系と区別するため、「天の川銀河 the Milky Way Galaxy」と呼ぶ場合がある。

天の川の位置は、天球上を大円に沿って淡く光る帯になっており、 いて座(サジタリウス)付近でもっとも明るく幅も広く、 七夕の牽牛星(アルタイル)と織女星(ベガ)の間を流れ、カシオペヤ座からオリオン座の北を通り、 みなみじゅうじ座に至る、と説明できる。

芭蕉の句に「荒海や佐渡に横たふ天河(あまのがわ)」がある。季語は秋である。

写真素材-フォトライブラリー:フォト蔵様撮影
参考資料
・日本大百科全書(小学館)
・大辞泉(JapanKnowledge)
・各民話集、星座伝説集
日本国語大辞典
幻想世界11ヵ国語ネーミング辞典


別画像:NASA公開の天の川

 

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アルタイル(彦星 牽牛星)
ベガ(織姫 織女星)
ユトゥ=ユトゥ
日本 (文化地域)
星、星座 (大項目)
中国 (文化地域)

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