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シャンバラ Shambhala

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ポェ・パ(チベット)の伝承。チベット仏教の伝承においてチベット北部にあるという国、聖地、理想郷。 雪山に囲まれた超俗の地であるという。これらはヨーロッパ人が伝承から秘境あつかいしている面が大きいようで、 高僧たちは現実に存在するものではないといっているようだ。名称は中央アジアを支配していた王シャンバカによるとも、 チベット語で「幸福の源」、あるいはサンスクリット語で「静かで穏やかなこと」という言葉を語源にしているともいう。

最初の王スチャンドラは晩年のブッダから「吉祥最勝本初仏」という教えを聞きシャンバラに持ち帰り、後の 後継者に委ねたという。

11世紀に成立したといわれる密教経典、時輪(カーラチャクラ)タントラに国の記述や歴代の王と連なるカルキ (未来仏)が書かれている。この経典は不規則なサンスクリット語で書かれ、中央アジアで編纂されインドや チベットへ伝わったという。

最後の後継者リチェン・ペマ・カルポRidgenPemaKarpoは復帰してシャンバラを世界的な王国として確立すると 期待されているという。また別な資料では7代のシャンバラ王の後のカルキの25代目のラウドチャクリンが ラ・ロ(イスラム教)の軍勢とインドのシータ河で戦い勝利すると書かれているという。

ヨーロッパに初めて知られたのは1627年、イエズス会宣教師ステファン・カセラ、ジョン・カブラル が中央アジアで聞いた「センバラ XEMBALA」についてのもの。1775年にパンチェン・ラマ3世の著書 『シャンバラへの道案内書』があり、その後ブラヴァツキー(1831-1891)、ニコライ・レーリッヒ(1874-1947) などに紹介された。

ニンマ派総本山ミンドルリン寺の高僧は、」シャンバラについて外国人からよく尋ねられるが、 「現実の世界にはそれは存在しません」と。古い伝承では、ある僧が聖地シャンバラを探し、 途中であった隠者にそのことを話すと、遠くへいかなくても自身の胸中にあるのだといわれた、という話がある。

参考資料
世界宗教事典 (青土社)
チベット永遠の書―宇宙より遥かに深く 「シャンバラ」極限の恐怖の果てに「生」の真理を見た (テオドール・イリオン著)

 

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ポェ・パ (文化地域)

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