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フェブルウス神 Februus (February語源)

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あるいはファブルウスFabruus。2月、フェブルア月(フェブルアリウス)の神。2月Februaryの語源。

フェブルアとは「清めの具」の意味だという。
『祭暦』でオウディウスが述べている。
ローマの父祖は清めの具をフェブルアと言った
神祇官が祭儀の王と神官に求めた羊毛ア
先駆警吏がある種の家々(喪中の家?)で清めとして手に取る塩粒を混ぜて焼いたスペルト小麦パン
清らかな木から切り取られ、汚れのない額をおおう枝葉、木の枝
つまり体を清めるものは何でもフェブルアであり、フェブルアリウスは清めにちなむ

ルペルキ(ルペルカリア祭の司祭団)が、剥いだ皮を持って全市の土地を巡行し、清めとするからか 死者のための清めが過ぎ去った時、墓前の供養もすみ、清らかな時期であるからだろう
等とオウディウスが述べている。
なお3世紀、ローマ帝国で処刑された聖バレンタインに由来するバレンタインデーが ルペルカリア祭に関連するという説もある。

また『祭暦』では2月は、
テルミヌス神の、下界の底に棲む霊魂を祀る月は順序が一番下だった
であり、2月15日は二つ角のファウヌス神の祭りだという。いにしえのアルカディア人は 牧神パンを崇め羊の無事を計って捧げ物を受けていたという。

ブルフィンチは『ギリシア・ローマ神話』で、パン神と同一視される神はファウヌスと シルウァヌスと述べている。

『故事名言・由来 ことわざ総解説』ではファブルウス神の月、と書いてあり、この神は後に 死の神プルトンと同一視された、と書かれている。
『祭暦』が紀元前の共和制ローマ時代の著述で、そこにはプルトンとの同一視は見当たらないが、 死者と関係した清め については関係しているようである。
ファウヌス神の祭壇に香煙があがる2月のイドゥス(満月)は、昔ファビウス家(ローマの貴族) の306人が戦争で死んだ日だという。 また2月23日の境の神テルミヌスの祭儀で、「境を記していたなら300人ものひとが死に 追いやられることはなかった」とある。

あるいはブルフィンチの著述では、パン神は、夜の森の中のような、 目にみえないぞっとする怖ろしいものをPanic terror(パンの怖ろしさ)と呼ばれている、とある。

辞書では
「浄罪の月」
「厄払いの儀式(の月)」
等とあり、『祭暦』でも「どのような罪業も災厄の原因も禊(みそぎ)をすれば取り除けると先祖は信じていた」とある。

以下、古代ローマの暦について少し述べる。
・古代ローマは1年10ヶ月304日だったという。
 大の月が31日(現在の3,5,7,10)、小の月が30日。
 それがヌマという人物により1年12ヶ月になったという。
 クィンティリス(5)
 セクスティリス(6)
 セプテムベル(7)
 オクトベル(8)
 ノウェムベル(9)
 デケムベル(10の月)
 新年はマルス月(現在の太陽暦3月の時期、春分新年)
 (ヌマ暦)

・紀元前BC5世紀 ほぼ太陰暦の1年12ヶ月、355日
 大の月(3,5,7,10)31日、小の月29日、最後の2月は28日
 閏月(メルケドニウス、インテルカラリス)が2年に1度、2月を短縮し、ひと月付け加えた。
 閏月は不吉だといって付け加えないことも多かったという。  (前ユリウス暦)  ※この、前ユリウス暦が『祭暦』の時代、共和制のローマ時代が記録された暦

紀元前BC45年1月より1年365日、閏年4年に1度のユリウス暦になった

参考資料
祭暦 (叢書アレクサンドリア図書館)
故事名言由来・ことわざ総解説 (自由国民社)
・プログレッシブ英和中辞典
・研究社 新英和中辞典
ギリシア・ローマ神話―付インド・北欧神話 (岩波文庫)

 
関連項目一覧
ローマ (文化地域)
 (大項目)
バレンタインデー ()

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