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クロユリヒメ 黒百合姫 くろゆりひめ

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日本の伝承。中世末期以来の語り物で祭文の一種の『黒百合姫祭文』に登場する姫。美女、美少女。
この祭文は修験山伏や巫女的な唱導者が語り伝えた。

安倍貞任を先祖と仰ぐ矢島五郎満安と娘の小百合姫の物語。父は鎌倉幕府に謀反したとして討たれた。 父の恨みを晴らすため鳥海山にこもり、大権現に、 本願が成就するなら鶴間ヶ池の百合を黒く、と祈念する
「この本望遂げべくんば、鶴間ヶ池の岸に咲く山百合の花を墨染の色に染めてたび給へ、又望み叶はぬものならば、 昔ながらの色に咲かせてたび給へ、さらばこの身生きながら 竜神の贄になり申さうと二つに一つの誓ひを立てらるる」
この翌年の夏、玉のような男子を産んだ時に百合がみな黒くなった。
本望成就のしるしと、勇んで兵術を修行し、六十六人の行者と巫女が一騎当千の手並となり、 姫は甲冑の上に白の生絹の大かつぎをかつぎ、乳児緑丸を懐き主従六十七騎で出陣した。

(あげ羽の蝶の君との子)一子、緑丸に跡を譲り、矢島の山里に庵を構え『法華経』を読誦し身を終える。黒百合尼ぜ、といわれる。 今も池のまわりには黒百合が咲き乱れるという。



なお、安倍貞任の末裔として安倍晋三内閣総理大臣が知られる。

参考資料
日本架空伝承人名事典 (平凡社)
日本架空伝承人名事典 (平凡社)
・世界大百科事典
・日本人名大辞典

 
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日本 (文化地域)
女神、女傑 (大項目)

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