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アグリ あぐり

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女の赤子につける名前。日本の伝承、俗信。

女の子ばかり生まれて男の子が生まれない時、 「これが最後の女児であるように」という希望で付ける名前。

また、生まれた子がうまく育たないという家で、 この名を付けるとその女の子は順調に育つという。

語源は、東北方言「あぐる」(溢れる)の名詞形説がある。
<秋田津軽詞に溢る事をあくるといへり>あぐりこと末なる女子を名づくれば、 こたびは必ず男子生めり といふためしありけるなん(管江真澄 しののはぐさ)
また、喜田貞吉氏の説 「あまり」の意の転じた語(あぐりといふ名、あぐりといふ姓)という とある。

江戸時代の文献に
井筒屋のかか、又あぐりなりける女の-(評判記)
徳屋あぐり八才(俳諧・七百五十韵)
「禿の古名聞けばあぐり」(俳諧・五万才)
などがみえる。

人々の願いや希望を込めて名づける、強い希望や願いのこもった名前であるだろう。 特に昔の社会では男子の誕生は家族や社会で、 家族が生きる上で労働力としても制度としても現代よりも重要だった。

参考資料
日本国語大辞典

 

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