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うしかい座 牛飼い座 (ラテン語Bootes,ボーテス Boo) >>関連項目一覧


古代ヘレネス(ギリシャ)の星座。プトレマイオス(トレミー)の48星座のひとつ。
春の星座。6月頃うしかい座流星群がみられることがある。
人の姿をあらわす星座(αβγδεの描く菱形が主体)。アルファ星はアークトゥルス(1等星)。 ひじょうに目立つ星(レグルスやスピカの2倍半明るい-零等星ともいう)でいろいろな伝承がある。
絵図などでは片手に槍を持ち、革ひもでつながれた2匹の猟犬(りょうけん座)をつれている。 この人物ははっきりしておらず、伝承もいくつかある。

・熊にかえられている母カリストー(おおくま座)を追いかける息子アルカス
 (しかしアルカスは小熊 こぐま座になった)
・二輪戦車を発明したアテネ王エリクトニウス(ぎょしゃ座関連)
・忠犬メーラの主人アテネ王イカリオス(おおいぬ座関連)
・天を肩にかついで支える巨人アトラス(天の北極に近いから)


ちなみにボーテス(ブーテス うしかい座)の名の言葉もよく意味がわからず、ラテン語で「かしましい」「さけぶ者」の意味 だというが、これは熊を狩りたてるときの勢子の掛け声だともいう。

古代ギリシャの詩人ホメロスの「オディッセイア」に「しずむにおそきボーテス」とうたわれている。
これは3月に東の空に姿をみせるときは横向きだが、10の初旬西の空に沈むころは直立した形なので、東から のぼるころは1時間であらわれるのに、しずむときは2時間もかかるかららしい。

アルクトゥルス(アルクツールス)は珍しく天球上の位置が大きく変わる動きをしていて、トレミーの時代と 現代では満月の直径2.5個分ずれているという(1年間で角度の2.3秒南西にうごく。約800年で満月の直径分移動)。 おおくま座の尾、北斗七星についてまわることに由来する名前らしい。(「熊の番人」の意味)
おもしろい逸話があり、1900年頃ドナチという大彗星があらわれ、彗星の尾が地球にふれると大変ではと人々を不安にしたが、 アークトゥルスの前を横切った時、明るい光が彗星の尾を通して輝いて見えたので、このほうき星の尾がきわめて希薄で、 地球にふれても大丈夫だろうとわかったという。

ミラクは黄色の2.5等星と青色の5.0等星が並んだものが望遠鏡でみえる。美しいので、ロシアの天文学者ストルーベが この二重星をプルケリマ(最もうつくしいもの)と名付けた。

α:アークトゥルス,アルクトゥルス(ギリシャ語で「熊の番人」) 1.3等星
β:ネッカル、ナッカル(牧人の意味)
γ:セギヌス(意味不明) 3等星
ε(イプシロン):ミラク(帯の意味 星座の中ほどにある) 2等星
θ:アセルス(ろば)
μ:アルカルロブス(牧人の杖)
η:ムフリド(槍をもつもののひとつ)


日本:「麦星」ムギボシとよばれる。6月の麦の刈り取りの時期に頭上に輝くかららしい。
 江戸時代の俳句「麦星の 豊の光に 覚しけり」(揚水)
中国:「大角星」青龍(さそり座)の2つの角の片方。


うしかい座流星群は1960年代よくみられたらしいが、その後しばらくみられず 2012年の6月はまた観測できそうだという。日本では梅雨空で難しいだろう。

参考資料
ヴィジュアル版 星座への招待 (村山定男、藤井旭:著 河出書房新社)
星座手帖 (現代教養文庫 658)
・星の神話伝説集 (草下英明:著)
・星の神話伝説 (野尻抱影:著)


 
関連項目一覧
星、星座の神話 【大項目】
ヘレネス(ギリシャ) 【文化地域項目】
キュクロプス 【ヘレネス(ギリシャ):一つ目巨人】
ゼウス 【ヘレネス(ギリシャ):主神】
ティターン 【ヘレネス(ギリシャ):巨人,神】
プトレマイオスの48星座(トレミー星座) 【ギリシャ:星座】

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