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ラプンツェル Ra'punzel >>関連項目一覧


ドイツの民話伝承[グリム童話]で、塔の上に監禁されてる美少女だが王子と結婚する。
名前の意味は「野萵苣 のぢしゃ Ra'punze」(オミナエシ科の一、二年草でサラダにする。南ヨーロッパ原産)。 長い美しい金髪で、歌声も美しい。

ながく子供に恵まれない夫婦がいて、あるとき、妻が窓からみえる魔女(魔法使いの女)ゴテルの畑の野ぢしゃに目がとまり、 無性に食べたくなって「食べれなければ死ぬ」という。 取ってはいけないが夫は仕方なく畑に忍び入りとってきて食べさせた。今度は三倍食べたさが増し、もう一度とりにいって 見つかった。

魔女に事情を話すと「子供が産まれたらもらう」という約束で許された。 そして子供が産まれるとすぐにラプンツェルと 名づけ連れ去った。12歳になると娘を森の中の塔に閉じ込めた。 階段も入り口もなくてっぺんに窓があるだけで、 魔女が声をかけると、ラプンツェルが20エレン(12m弱)の長い髪をほぐして、窓外の鉤にかけて垂らし、それで登ってくる。

あるとき、この国の王子が塔のわきを通り、美しい歌声に聞きほれた。ラプンツェルはひとり暮らしの寂しさで歌っていた。 王子は毎日やってくるうち、魔女が 「ラプンツェル、ラプンツェル、お前の髪の毛さげとくれ」と言って昇り降りするのをみて、 次の日、暗くなる頃をみはからい魔女と同じように声をあげ、髪の毛に伝わって登っていった。 男をはじめてみるラプンツェルは最初驚いたが、王子が歌声や美しさに心乱され会いたくてしかたなかったというので 気を許した。王子は自分を夫に持つ気はないかと プロポーズし、娘も王子が若くて美しいイケメンで、ゴテルより自分を大事にしてくれそうなので 了承し、塔からでるため、くるごとに絹の紐を1本ずつもってきてもらいそれで梯子を編むといった。 梯子ができたら馬に乗せてちょうだいね、と脱出の算段をし、老魔女と出会わないよう毎日暗くなってからくるように 約束した。毎日仲良くしたのだろう。

しかし、魔女が気づいてなかったのに、 娘が「おばあさんは王子より重くてひっぱるの大変!若様は瞬きする間に昇ってくるのに」と愚痴をいってばれた。

娘は三つ編みのおさげ髪を切られて荒れ野にほおりだされた。 何も知らない王子は、切られた髪が下げられたのを登って行き魔女に驚く。 魔女は「お前のかわいい奥さんに会いにきたんだろうが、あのきれいな鳥はもう巣にいなし さえずりもしない。ニャアニャア(猫)がさらっていったんだ。猫はお前の目玉もほじりだすかも。もう会えないよ」 といった。

王子はわけがわからなくなって塔から落ち、からたちの中におちて目玉がつぶれ失明した。 森の中をさまよい、木の根、草の根、山ぶどう、山くわの実、草いちご等をたべ、幾年もすごした。そのうち 王子の子供、男と女のふたごを産んで育てているラプンツェルのいる荒地にさまよいこんだ。

王子は聞いたことのある声に歩み寄り、娘も王子に気づいてえりくびへかじりついた。 ラプンツェルの流した涙が王子の目をぬらすと、王子の目は元通り見えるようになり、 みんなで王子の国に帰り、大歓迎され、長く幸せに暮らしたという。

塔や城などに幽閉、監禁された美女を王族や英雄が訪れ妻にするモチーフ、 また王や英雄が放浪を余儀なくされるモチーフは古代より物語によくみられるもの。

ディズニーでCGアニメ化した作品「塔の上のラプンツェル」 (邦題 主役の吹き替えは中川翔子[しょこたん])がある。

参考資料
完訳 グリム童話集 1 (岩波文庫)
現代独和辞典 (ロベルト・シンチンゲル 三修社)
・和独 (三修社)


 
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