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バルトアンデルス Baldanders >>関連項目一覧


ドイツの物語に出てくる怪物。連続的な怪物、時間の怪物だといわれる。

もともとは16世紀のマイスタージンガー、ハンス・ザックスが「オデュッセイアー」の中の、プロテウス神がメネラウスに追われながら様々に姿を変えて逃げているシーンから暗示をうけて創作した。

その後17世紀にハンス・グリンメルスハウゼンの小説「阿呆物語」に登場した。

名前はドイツ語の「バルト(すぐに、じきに)」と「アンデルス(別の物)」をくっつけたもの。

「阿呆物語」では、森の中の石像が人間に触れられた時、バルトアンデルスと名乗り、人間、樫の木、雌豚、太いソーセージ、クローバーの畑、糞、一本の花、花をつけた枝、桑の茂み、絹のつづれ織り、など様々に姿を変え、最後にまた人間の姿になった。

そして「椅子やベンチ、鍋や釜のような、生まれつき口がきけないものと話をする」術をその人間に教えようとした。しかし、その術は暗号文書で書かれ、それを解く鍵として書記に姿を変え、「われは始めにして終わりなり」というヨハネ黙示録の言葉を書き記した。そして自分の紋章は変わりやすい月であると語った。

グリンメルスハウゼンの小説の初版本の扉には、この怪物の版画が載っていて、その姿はサテュロスの頭、人間の胴、鳥のひろげた翼、魚の尾をもっており、ベルトには剣をさげ両手で開いた本をもっている。

山羊の足と禿鷹の爪で、仮面の山を踏みつけていて、仮面の数々は姿を変える連続を象徴しているという。

余談だが、20世紀の日本のファンタジー作品「魔術師オーフェン」に月の紋章の名称として登場している。

 
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