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アフガニスタンの神話・民話 >>関連項目一覧


アフガンは民族名(山の民の意)とイラン語の地名接尾語スタン-stanで、「アフガン人の土地、国」の意。 アフガンという呼称はイラン側のもので、パシュトゥーン民族、その氏族連合をさす。歴史にその名前がみられるのは13、14世紀からで、 元々はスレイマン山脈で居住していたがヒンヅークシ山脈の南麓に進出してきたという。国家が成立し、地域の枠組みができたのは18世紀。 現在はパシュトゥーン人は人口の約40%で、他に、タジク民族、ファールスィー(イラン民族)、ウズベク民族、 トルクメン民族、ハザーラ民族(ヒンドゥークシュ山脈東部ハザーラジャート地方)、 アイマク(チャハール)民族(ヒンドゥークシュ山脈西部ゴール地方)等、他にも少数民族がいる。

この地域はアジアとヨーロッパの様々な国家の支配に代わるがわるあっってきた歴史をもつ。 また文化圏としてはインド、中央アジア、イランの文化圏の狭間の地域であり、歴史的にはヘレネス(ギリシャ)人の都市や国家があり、 また仏教圏もあった。

最も古くは紀元前BC3世紀にイランのアケメネス朝の属州があった。紀元前BC4世紀にアレキサンダーの遠征があり、 カンダハル(イスカンダール、アレキサンダー)はこの時建設された都市だという。3-7世紀まではイランのササン朝の支配下にあった 。玄奘三蔵の「大唐西域記」によると、7世紀頃には「ナガラハル国(今のジャララバードを中心とした地方)の記述があり、 穀物や花や果実が多い地域と記録されている。その後アラブ民族による支配とイスラーム化があった。10世紀にはサルタン・マフムード(998-1030)の ガズナ朝がおこり、廃頽傾向のアラブ民族国家ブワイ朝と争った。マフムードは十数回インドへ遠征もしたという。 その後トルコ民族のセルジューク王朝(1037-1194)、セルジューク朝を亡ぼしたホラズム朝の支配下になり、1219-25年のチンギス・ハーンの西征では 当時ヒンヅークシ山地最大都市だったというバーミアンや、カンダハルが破壊されたという。 その後はチムール朝(1369-1500)の支配下に。その後はサファヴィ朝とインドのムガール帝国の領有争いの舞台となった。

アフガン民族による国家は、18世紀初めにカンダハルを本拠にギルサイ族が台頭し、サファヴィ朝の衰微に乗じイラン本土に侵入、7年間支配したが ナジャール・シャーに再征服された。しかしナジャールが暗殺されたのを機会にカンダハルにドラウニー朝(1747-1826)ができ、 アフガン王国の基礎となった。始祖のアフマド・シャー・ドゥラニーは数回にわたりインドに侵入、カシミール、シンド、パンジャップ等を支配下においた。

国内に特権の廃止などをめぐって氏族抗争があり、1825年にドースト・モハメットのモハメッドザイ朝(バーラクザイ朝とも)がおこる。 その後、帝政ロシアとイギリスの抗争の舞台になり、19世紀、イギリスとの2回の戦争、第一次アフガン戦争(1839-42)、 第二次アフガン戦争(1879-80)を経て、イギリスの保護国となった。

その後も紆余曲折あったが現代においても戦乱が絶えていない。西アジア自体がアラブ、イラン、トルコ、モンゴル民族による帝国の出現による 栄枯盛衰と戦火が繰り返された地域であり、その東端に位置したアフガニスタンも例外でなかったが、 近・現代におけるヨーロッパの軍事大国による干渉や侵略については、責任を問われなければならないと思われる。

文化圏としては各地方ごとに周辺の地域に吸収されてしまいそうだが、歴史上、優れた美術・文化を生んだこともある地域であり、 文化の十字路として今後の復興を期待したい。

主な民族と居住地域は、
タジク民族(バダフシャーン地方)、ファールスィー人(イラン民族)(ヘラート地方、スィースターン地方)、ウズベク民族(バクトリア地方)、 トルクメン民族(トルクメニスタン国境付近)、ハザーラ民族(ヒンドゥークシュ山脈東部ハザーラジャート地方)、 アイマク(チャハール)民族(ヒンドゥークシュ山脈西部ゴール地方)。 パシュトゥーン人は18世紀以後の移住でスィースターン北部のファラーフ、スィンダンドやバクトリア地方にも居住。

人類史的に、数千年来の過放牧や火入れ、無理な耕作などで森が荒廃し、半砂漠化した地域が増えるているというが、 この記録が正しければ、アフガニスタンもその例にあてはまるだろうか。
但し、近年のアフガニスタンの荒廃は、やはり先進国という名の軍需産業大国による軍事的な干渉が大きいと思われる。

関連項目一覧
イラン(ペルシャ) 【文化地域項目】
ヘレネス(ギリシャ) 【文化地域項目】
インド 【文化地域項目】
ガンダーラ[美術] 【地名:アフガン,パキスタン】
バーミヤン 【アフガニスタン:世界遺産】
大工の息子 【物語】

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